土の声

「土の命を」「生き還る土が語る河内・摂津・和泉の布物語」


「土の命を」

ベンガラ職人・アーティスト 小渕裕


小渕裕は、今回の展示「土の声 草の息」に向けて、自ら歩き土を訪ね、新作に挑んでいる。

土の色は焼くことで黄、赤、黒と粒子は形を変え、さまざまな色を見せる。
小渕裕が、染色表現として大切にしてることは色の気配(けわい)。

けわいの語源は気が這うと書く。視覚的な部分だけでなく、色のもつ音や声、目に見えない気配を感じてもらえるような染色表現を目指す。

汚泥再生の土 【汚泥再生プロジェクト】

地下300メートルの地底から汲み上げられた黄土。
生駒山から流れ込む雨水は地底にたまり、水の層ができる。 その地下水と微生物とともに育まれた天然のベンガラ(顔料)です。

きっかけは交野市からはじまりました。
交野市浄水場で作られる水は生駒山から流れ込む自然の水。 その水とともに地下から汲み上げられる黄土。 自然のエネルギーを帯びた大変美しい色の土なのですが、 水をろ過する際この土は「汚泥」として年間150トンが大阪湾に捨てられています。 実は現在、美しい色をした「汚泥の土」を交野市とともに再利用することはできないかと、この土を使った染めを実現しています。

さらに、採取したままの黄土を900℃で焼いて赤土もつくりました。 黄から赤へ。 古代からつづく色つくりの手法です。


この2色で作る「夕焼け染め」も展示されます。

なかええみのパフォーマンス「よろぼし〜手湯と草〜」の衣装、背景のシンボルにも使われます。 ぜひ、このやさしくも深い色をご体感ください。


 


また、
同時開催するワークショップでは自然の色の美しさ、染色の楽しさを伝え、実践的な技術指導から手仕事の豊かさまでを、実践。

小渕裕の紹介はこちら>>>


「生き還る土が語る河内・摂津・和泉の布物語」
コンセプト・ストーリーテラー 大和絵奈

僅かに残る上町台地の黄土。

羽曳野の埴生の赤土と共に、古代の色に「触れて」欲しい。

埴生の赤土

(羽曳野)

すみのえの黄土
(摂津)

汚泥再生の土

大阪の土との出会い。

大阪に生まれ育った私は、産土神も住吉っさん。若い頃から、大阪の中を転々と暮らしてきましたが、
住吉大社に隣接する粉浜に居を構えたころから、古の大阪を意識するようになりました。

その中で、住吉っさんの摂社である大海神社の小出権禰宜さんとの出会いがありました。

私が以前企画を共にした葦船航海士の石川仁さんとご一緒に、海の航海祈願のために住吉っさんを訪ねたのがきっかけでした。

そのときに、「昔の大阪のほとんどが海だった事を多くの人は忘れてしまっている」と聞きました。そして、私の古の大阪に対するアンテナが一気に高まりました。

また、小出権禰宜さんは「住吉の黄土」の話を、同席していた染色家・小渕裕さんに話してくださったのです。

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数々の万葉集に取り上げられる「住吉の黄土」。

中秋の名月の大海神社の月次祭に参列し、小出英詞権禰宜さんから「歌は祈り」ですと教えていただき、

さらに住吉っさんが和歌の神様である事の認識を改めて伺い、私は土へも和歌へも心を寄せていきました。


ここに岸の埴生 黄土を詠んだ詩を紹介します。

草枕旅行く君と知らませば岸の埴生(はにふ)ににほはさましを 清江娘子(万葉集)

馬の歩み抑へ留めよ住吉の岸の埴生ににほひて行かむ 阿倍豊継(万葉集)

白波の千重に来寄する住吉の岸の埴生ににほひて行かな 車持千年(万葉集)

馬並(な)めて今日わが見つる住吉の岸の黄土を万代に見む 作者未詳(万葉集)

めづらしき人を我家(わぎへ)に住吉の岸の黄土を見むよしもがも 作者未詳(万葉集)


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万葉の時代に詠まれた住吉の岸の黄土があった場所は上町台地。現在の帝塚山辺りです。


小出権禰宜さんは、住吉大社の摂社・大海神社で毎月13日に月次祭を執り行い海の安全や、台風や災害などで被害に遭われた方へのお見舞い祈願などをなさっていらっしゃいます。

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